起業するのに「お金があると失敗する」のを知っていますか

インターネットの普及により、大きな資金がなくても起業できる環境は整ってきています。とはいえ、ある程度の資金がないとスタートできない新規事業もたくさんあります。そして、わたしのような個人投資家(エンジェル投資家)は、そのような起業家へ最初の資金を提供しています。

ここで勘違いされている起業家もいるのですが、新しく始めるビジネスにおいて「資金が無いからスタートできない」というのと、「資金が無いから失敗する」というのには何の関係もないとわたしは思っています。

誤解を恐れずに言うと、むしろその逆で資金が有りすぎるゆえに失敗することも少なくないのです。こう言うと、資金がなかなか集まらずに途方に暮れている起業家から、「そんな訳はない、お金はあって困るものではないのだから」という声が聞こえてきそうですが、残念ながらこれは事実なのです。

これは家計でも同じだと思いますが、(一部の節約家の人を除いては)お金がたくさんあると、つい気が大きくなってしまい、不要な広告や余分な人員の雇用、また事務所の内装や備品など、直接利益に結びつかないものへの出費に対して甘くなってしまいます。

それぞれ一つ一つを見ると、それほど大きな出費には見えませんが、それが積み重なっていくと、当然想定外の出費が大きくなってしまいます。よくあるのは開発などを必要とする事業に集めたお金が、(想定以上のお金が集まり、開発に大きな問題があった訳でもないのに)開発途中にして資金ショートしてしまい、事業がストップしてしまうケースです。信じられないかもしれませんが、これらの原因を探ってみると、当初の事業計画よりも多くの経費が使い続けたことによって資金が足らずに失敗に終わってしまうこともあるのです。


では、資金が成功と関係がないのなら、いったい何が成功と関係があるのでしょうか。残念ながらこれには「唯一の正解」と言えるものはありません。しかし一つ挙げることができるとすれば、それは「健全な臆病さ」だとわたしは思います。

起業した後には、お金が少なければ少ないなり、多くあれば多くあるなりに罠が潜んでいます。また、自分が扱っている商品やサービスが売れても売れなくても、それぞれに思わぬ落とし穴が潜んでいることも少なくありません。

起業当時は、経験も資金も少ない状態なのですから、まさにジャングルを裸で歩きだすようなものです。ジャングルなら、あらゆる危険性を想定して、五感を研ぎ澄ましていないと、すぐに食べられて死んでしまうでしょう。起業家にもそれと同じくらいに「健全な臆病さ」が必要ではないかと思います。

もちろん、「臆病さ」だけでは大きく飛躍する事はできません。しかし早くに失敗してしまえば、飛躍するどころか、生き残ることさえ出来ないのです。まずは「大きな失敗をせず生き残ること」、そして次に「大きな成功のチャンスを捉える」ようにするのが、起業で成功する近道のような気がします。

さて、あなたはどう思われますか?あなたの意見を下のコメントに聞かせてください。正解はありませんので、屈託のない自由な意見をお待ちしています。


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