「○歳までには起業したい!」は失敗の第一歩です〜年齢を目標にする罠〜

いつか起業したいと思っておられるサラリーマンや学生、また主婦の方は多いようです。投資や出資をしてくれる人を探している起業家の方との面談や、起業家になられる前の方からの有料相談でお話をお聞きしていると、「私は○歳までには起業すると決めている(決めていた)んです」と仰られる方がおられます。

しかし、私はこの「○歳までに起業する」と言う考え方に反対です。こう言うと、あなたは「目標を設定するのが悪いのですか?目標には日付を入れろといいませんか?」と仰るかもしれません。その気持ちは、よく判ります。しかし、敢えて私は反対します。その理由は、「目標が先に立ち、焦った行動を取り、その結果失敗する」からです。

学生が「僕は20歳までに起業しよう」とか、サラリーマンが「私は40歳までには、脱サラして起業する」、主婦なら「私は、30歳までには起業してみたい」などと、年齢を起業の目標にしたとします。しかし、明確で、実現可能な起業プランがなければ、例え100歳になっても、起業は出来ません。

もちろん、最初はそれを理解したうえで、「○歳になるまでには、起業のアイデアを見つけよう。そして起業しよう」と言う気持ちだったのだと思います。しかし、目標だけが一人歩きを始めるというのは、珍しいことではありません。いつしか、それは「○歳になるまでに起業するんだ」という目標に変わり、起業プランの有無や、その事業プランの有効性よりも、「起業する年齢」に重きを置くようになるのです。

そして、目標の年齢に達すると、無理やりにでも起業し事業をスタートさせます。その結果は、どうなると思いますか。


これが人の事であれば、「あんまりですね、成功するとは思えませんね」と仰る方でも、この「年齢を目標にする罠」に嵌(は)まると、ご自分でも同じ事をされたりするのです。

実は、これは何も起業だけではありません。起業とは関係ありませんが「結婚」でも同じなのです。「20歳までには結婚したい」とか「30歳までには子供が欲しい」という思いが強いと、先ほどの起業の話と同じで、自分で自分に「年齢を目標にする罠」を仕掛けてしまう事になります。そして「この人は少し違うかな」と思ったとしても、そこには目を瞑って、焦って結婚してしまうのです。その結果、後で後悔する事になるのは明白です。

この話は、何かの研究結果がある訳ではなく、私の持論です。しかし、私は自分の経験を通しても、これは正しいのではないかと思っています。起業に年齢の制限はありません。ですから、「○歳までに起業する」という年齢の制限を、自分に設ける必要はないのです。焦って起業する必要はありません。

あなたの準備が整った時、その時が起業の適齢期です。私は、エンジェルとして、たくさんの起業家を見ていて、「機が熟した起業が、一番成功の確率が高い」と感じています。私は、あなたが焦って起業して、失敗した姿は見たくありません。あなたが起業家として、良い結果に恵まれますように、お祈りしています。


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